建築基準法の接道義務を満たしていないため、この土地に家を建てられないというのです。にわかには信じられず、自分達で役所に電話をし確認をしました。その結果、
判定は一転し、この土地は家を建てられる物件だという事が分かりました。
この記事の内容
家を建てられないだと?なかなかすんなり土地は買えない
今回の現地視察で、目標にしていた土地に関する調査を全て終わらせた私たちは、
一旦東京に帰って来ました。
https://tinyhouse-story.com/tochisagashi-23
(前回の話はこちらです。)
その場で不動産屋さんにアポを取り、
一緒に土地の境界確認などをしてもよかったのですが、冷静さを保つため、あえて一度東京に帰ることにしました。
帰ってきた私たちは、改めて不動産屋さんに連絡をし、現地見学の申し込みをしました。
その際に、特に問題がなければ、その場で買い付け(購入の申し込み)を入れる予定です。
不動産屋さんから届いた不穏なメール
今回の担当のQさん、現在売却依頼のあった山林を調査中(太陽光発電用地だそうです)で、昼間ほとんど事務所にいません!電話しても必ずといっていい程、折り返しになるので、
いつの間にか、メインの連絡手段はメールになっていました。
メールのやり取りはスムーズで、朝一、もしくは夕刻に必ず返信をくれるので
特に問題はありませんでした。
その日も、妻どんぐりがメールにて日程の相談をすると、夕方には返信が入っていました。
日程の方はこちらの希望通りで案内してくれるそうです。ただ、一つ気になることが書かれていました。
お話し頂きました土地ですが、測量図面を元に現地の杭を確認しました。
簡単な目視で境界が分かった場所について、添付資料にて赤丸を付けましたので、宜しくご確認下さい。不明な箇所は、草木の中に紛れているか、杭が欠損しているかいずれかであると思います。
この状態で宜しければ現地にて確認頂けます。
但し、幸い今現在は雪が無いため確認可能ですが、降雪後は厳しくなります。
本物件に建物を建てる場合は、接道の関係で○○の筆にのみ可能かと存じま
す。また、水もないので井戸を掘削する必要があります。
以上、宜しくご確認下さい。
「Qさんのメールより抜粋」
安い土地に付きまとう、建築基準法の接道義務が行く手を阻む
Qさん、メールの文面からも分かる通り
しっかりと、土地に関するデメリットも書いてくれます。
以前のある業者さんはとは、ちょっとタイプが違います。
この方は、土地のデメリットは絶対口にしないタイプでした。
(その際のやり取りはこちらの記事をどうぞ)
メールの内容のうち、境界と井戸の件についてはすでに織り込み済みです。
境界は私たちも確認していて、欠損部分も把握しています。
今後は、改めて杭を確認、ない場合は入れてもらう。
もしくは、現況のまま、現状渡し(そのまま買う)で、その分を値引きしてもらうか。
この二つの選択肢がありそうです。
水に関しては、近くの沢で生活用水が確保出来る事、近隣のAさんは30年間、井戸水で生活していることなどから、井戸の掘削は可能であること。また条例による、井戸掘りの規制がないことも確認済みです。
井戸を掘るまでは、2,3キロ上った所にある湧き水、もしくは、下ったところにある
スーパーの浄水器の水(ボトルを買っていれるやつです)を使う事に決めていました。
ところが、接道の部分に関しては全く想定外でした。
というのも、土地の北面を未舗装ではありますが、かなりの幅のある道が一面接しており、
更に西側にも数メートルですが、ほぼ直交する形で道が接していたため、
この物件に関しては接道はまったく意識もしていなかったのです。
今回の土地は公図を取得して分かったのですが、何故か3筆に分かれており、
うち一つが飛び地になっている特殊な形状です。
この不動産屋さんの説明から推測すると、
家が建てられるのは西側のわずか数メートル道に接している飛び地の方だという事です。
私たちは、この土地を取得したら、
二筆が連なった方をメイン(スモールハウスを建設する)に使うつもりでいました。
飛び地は、余裕が出来た時にでも畑にしたらいいかなと、おまけ程度に考えていました。
やはり、安い土地には理由があるのか・・・
なんという事でしょう。
今まで私たちが描いていたプランは全て台無しです。
どんぐりも、がっくりと肩を落としています。
この物件、広さの割に単価がものすごく安かったのです。
坪単価、5000円しません。
車でのアクセスの良さを考えると、
これはかなり値打ちだなとほくそ笑んでいたのですが・・・。
やはり、安いなりの理由があったのか・・・。
信頼せよ、されど確認せよ
土地を実際にみた感想としては、西側に接する道よりも、北側の道の方が道幅も広く、
しっかりしているだけにどうにも納得がいかない気持ちでした。
各々の法律で道路というのが定義されていて、
建物を建てる時は、「建築基準法」によって認定された道路に接道(2メートル以上)
していないと、家を建てられないのです(特例・例外なども存在し非常に煩雑です)
例えどれほど立派な、百人みれば百人が「これ道でしょ。」という様なものでも、建築基準法による、道路認定がされていなければ(道として認められていなければ)それは、
この法律上は、道ではないのです。よって家は建てられません。
私はがっくりと椅子に腰を下ろし呆然としていました。
「あれが道じゃないなんて、あの先の沢を渡った奥には別荘が一件あるのに・・・。」
「んんん?何故家が建ってるんだ?あってはならないはずだ。」
どんぐりに確認すると、
どんぐりも確かに小さいが別荘らしき建物があったのを見ていました。
不動産屋さんがわざわざウソを言う必要もありませんし、考えにくいですが、
本当にあの道が道路認定をされていないのか、自分達で確認する事にしました。
役場に電話をして聞くと、それは確かに道路認定されていた!
どんぐりがすかさず、役場に電話して確認を取ります。
いつもながら行動が早いです。
「もしもし、今度○○に土地を買って、家を建てたいのですが、その土地に家が建てられるかどうか確認したいので担当の部署につないで頂けますか?」
「はい。道路にちゃんと接道されているかを確認したいんです。」
今回は、取次の方があまり詳しくないらしく、
担当の部署につながるまで時間が掛かりましたが、なんとか管轄の課に回してもらいました。
そして、公図を元に土地の「地番」を告げて、
土地の北側の道が、建築基準法上の道路と認定されているか、
「道路台帳」というもので調べてもらいました。
それによると、その道は「○○道1−232号線(番号は適当です)」であり、
確かに認定されています。との事です。
担当の方によると、現況で道幅が4メートルなければ、
セットバックは要するものの問題なく家は建てられるとの事でした。
不動産屋さんもプロだが人間、時に間違えることもあると肝に命じるべし
役所で聞いた内容をすかさず、不動産会社のQさんに伝えます。
すると、Qさんは明日、直接役場に足を運んで詳しく調べてくれるとの事。
私たちはQさんの返事を祈るような気持ちで待ちました。
翌日の午前中、Qさんからメールが届きました。
以前に取得してありました道路台帳を再確認しましたところ、
丁度本物件のところで見切れておりました。早速、○○役場に出向き下方の図面を取得して両図面を合わせましたところ
仰るとおり、本物件の間に走っている道路は、○○道1−232号線(仮称)であることを確認致しました。
「Qさんのメールより抜粋」
やった!!あの土地は大丈夫だ!!
私たちの執念の勝利です。
まとめ
その後、沢の向こうにある別荘は「トレーラーハウス」であることが判明しました。
トレーラーハウスは車輪があり、動かせるので、建築基準法の「家」ではありません。
でも、あの時私たちは、その別荘が「家」であると思い込んで電話をしました。
最初から、別荘がトレーラーハウスだと分かっていたら、
おそらく電話で確認もせず、あの土地をあきらめていたでしょう。
運がよかった。
今回の土地探しを通じて、終始どんくさかったものの、面倒くさがらず、人まかせにせず、
しつこく、何でも自分達で確認する態度を貫き通したことは、ちょっとだけ、私たちの誇りです。
今度こそ、ご縁があったのでしょうか。
次回へつづきます。